タジキスタン南部(紀元前1世紀〜紀元後1世紀) - バックル(野生の猪を狩る場面)

金.鋳物.5.3×5.4 矩形の枠組みは二つの切れで分けられたOvaで飾られている.枠組みの内側には野生の猪を狩る騎士のがっしりとした姿がある.毛を短く刈ったタテガミの馬が後ろ足を屈めている.馬具は馬の尻と首と鼻の部分に見える.半円形の後部鞍頭のある鞍.丸い縁の長い馬の衣装は騎士の脚よりも下まで垂れ下がっている.鐙はない.房で飾られた紐は鞍から両方向に垂れている.前の房は花のつぼみの形状である.馬の尾は脚の間に付けられ,省略されている.尾の先端は結び目になっている.騎士は体を反転して座っている.顔は良く保存されていない(右半分が擦り切れている).なめらかな髪型は髪を頭の後ろに流して結ぶかお下げにする.騎士は,広い袖のある長いガウンを羽織り,細いベルトを腰に締め,左側で掻き合わせている.広い袖と衣服の下端の折り目は深い溝で模られている.縁は肘の下まで下がっている.広い乗馬用ズボンは足首できつく締められている.右足先は概略的に示されている.つま先は下を向いている.騎士の右手は右の耳まで挙げられ,見たところでは槍の柄を掴んでいるようである(その小さな部分だけが残されている).肘で曲げられ,腰の高さで前に伸ばされた左手は,同じ
く今は失われた槍を掴んでいた.枠組みの右の低い位置に,傷つけられた野生の猪がいる.力強い犬歯がある鼻先は下に向けられ,前脚のひづめに押付けられている.毛皮は短く,細かい線で表現されている.立派な耳には嵌用のくぼみがある.猪の体に大きなくぼみ(滴の形−コンマの形)があり,わずかな残余物から判断して,バックル枠組みのOvaと同様,青いガラス・ペーストが詰められていた.バックルの裏面(枠組みの隅々)には固定用のしっかりとしたループ(一つは失われている)がある.
1世紀から2世紀
Лит.: ЮТ 117.

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