塼仏(蓮華中仏坐像) ,●概要ストゥッコ像 直径17.0cmカダリック出土 5世紀 大谷探検隊将来品。コータン北方のカダリック出土。この塼像は、当初、焼成粘度としていたが、蛍光X線分析により石膏と判明した。石膏は中央アジアに広く産出する鉱物でこの種の像を制作するのに広く利用された。仏教寺院の壁面や、巨大な仏の光背を飾る仏像で、多量に制作されたものであろう。大きな蓮華の中央に、禅定印を結び結跏趺坐する如来像を表している。頭上には肉髻を頂き、頭髪は髪筋を先刻せず、顔面は丸くふくよかで、額はやや狭く、耳は長く、口は堅く閉じている如来像の完成された姿と、蓮華の見事な表現は高い芸術性を備えており、ガンダーラ様式の影響が見られる。古代新疆カダリックにおける内外との文化交流の状況が見受けられる。 ●分析結果「塼仏」における無機化合物の元素および状態分析 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() すべての測定箇所から、S、Ca元素による強いピークが確認できた。これは、せん仏の本体を形成する石膏(CaSO4・nH2O)に由来するものと考えられる。不純物として、同族であるSr元素も確認された。これより精製されていない石膏原料が使用されたものと考えられる。また、表面が赤みを帯びていている部分があったため、そこにはFe元素が検出されると予想していたが、赤みを帯びていない裏側にもFe元素が同程度確認でき、赤みの原因がFe元素によるものであるといい難い結果となった。 顔や手の甲などの肌にあたる部分において、他の箇所と比べ、As元素によるピーク強度が非常に強いことがわかった。As元素は、古来より化粧品や有色顔料(雄黄 As2S3、シェーレグリーン CuH4As2O6・Cu(OH)2 、エメラルドグリーン Cu(OAc)2・3Cu(AsO2)2 )などに使用されていたため、せん仏の肌の部分は他の部分と異なる彩色がほどこされていた可能性がある。 戻る |