環境モニタリングによる収蔵・展示管理 ![]() ●古典籍・文化資料の保存環境古典籍・文化資料を収蔵・展示する環境を常時モニタリングし、現況を維持しながら後世へ伝えていくことが求められる。収蔵・展示環境が劣悪であれば、また環境変動が古典籍・文化資料の保存状態へ与える要因が不明であれば、貴重な資料の劣化がすすみ、後世へ伝えていくことができなくなる。この展観では、展観期間中(展示準備含め)の展示ケース(8ケ所)内の環境変動を常時モニタリングすることから資料の現況保存に最適な収蔵・展示方法の基本観測データ収集を行っている。今回は、乾燥地域である西域将来の文書を多く展示している。このため、湿度変化と温度の連続変化をモニタリングすることにした。 ●古典籍・文化資料の劣化・破損要因資料の劣化・破損要因は、資料そのものの材質によって大きく異なる。一般的な劣化・破損要因の多くは、資料取り扱いに伴う人為的なミスではあるが、以下の保存環境の違いにより劣化がすすむ。(1) 可視光 ----- 可視域400nm - 650nm(通常照明) (2) 可視域以外 ----- 特に近紫外域400nm以下(太陽光・蛍光灯) (3) 温度 ----- 高温・低温 特に急激な温度変化 (4) 湿度 ----- 乾燥・多湿 急激な湿度変化 (5) 空気中の汚染物質 ----- 排気ガス(粒子状物質、窒素酸化物) 酸性雨 建材・衣類からの揮発物質 ●センサーネットワークによる環境モニタリングセンサーネットワークとは、「近距離無線通信機能とデータルーティング機能を備えた複数のセンサーノードで構成されるネットワーク」である。無線通信機能を有した超小型センサーノードが、ネットワークで接続されて計測を行うシステムを指す。この展観では、超小型センサーノードを展示ケース内に配置することでケース内部の環境変化を捉える。またモバイルな設置が可能とするべく“Zigbee”と呼ばれる国際標準無線ネットワークと、電池駆動で1〜2年動作継続する超低消費電力センサーノードを採用した。 戻る |