百万塔陀羅尼






自心印陀羅尼


相輪陀羅尼


●概要

023.6-9-1 024.3-272-2
高さ(左から)21.5cm 21.3cm 20.7cm

 百万塔は、『続日本記』の記事によれば、藤原仲麻呂の乱を契機に、称徳天皇が路盤の下に根本・慈心・相輪・六度等の陀羅尼を収めた三重小塔百万基の造立を発願し、宝亀元年(770)に完成し、諸寺に分置したものである。
 この事業の所依の経典は、造塔事業の功徳を説く「無垢清光大陀羅尼経」であり、それは鎮護国家・滅罪を目的としている。法隆寺には、約4600基余りが所蔵されていることが確認されている。この百万塔もそれらと同様のものである。
 百万塔は轆轤挽きの技術で作成され、三層をなす塔身部(高さ約12cm)には直径2.5cm余りの陀羅尼の納入孔が穿たれ、全体に胡粉を塗布している。その底部には轆轤軸に材を固定するための爪跡が認められる。
 納入された陀羅尼は前記のように四種類あるが、本学所蔵のそれは冒頭の五行が欠損している。その内容より相輪陀羅尼であることが確認される。これらの陀羅尼は印刷されたものであるが、木版か銅版かで見解は分かれている。


●分析結果

自心印陀羅尼の顕微鏡撮影画像

( X100倍)

極めて美しい楮紙


( X500倍)

画像中央の繊維が二重になっていることから楮繊維と判定できる


相輪陀羅尼の顕微鏡撮影画像

( X100倍)



( X500倍)

麻紙を主体としている(少量の楮繊維が混合している可能性がある)


●文字周辺部とその裏側の拡大写真

自心印陀羅尼の文字部分とその裏側
裏側


相輪陀羅尼の文字部分とその裏側
裏側

自心印陀羅尼、相輪陀羅尼共に文字周辺部に凹みがなく、裏側にも擦り後がないので、刷り物ではなく印字であることがわかる


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